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小話:昔の彼女
小話:昔の彼女
私は、山田正夫62歳である。
妻に子供は3人である。子供たちはそれぞれ独立して家を出ている。
務めた会社を定年で退職し、今は疲れた体を休ませている。
女房は、パートに出てそれなりに友達を作り充実した生活を送っているようだ。
まあ私などは、相手にはしない。
それはそれで、いい。お互い迷惑はかけたくない。
しかしまあ、職がないという事は、張り合いがないものである。
務めているときは、嫌な思いばっかりしてたのに。
このまま、日を過ごすのも、なんだし、何か仕事を探してみようかなと思うようになった。
ジリリリーーーン
電話がなって、出た。
「もしもし、正夫さん・・」

「はい、山田正夫ですけど」
「あたし・・、和子」
「え!和子さんですか」
「そうよ、何言ってるの」
「あの、どちらの和子さんですか」
「あら~失礼ねぇ・・、私ね決めたの・・貴方と結婚するって」
「え!・・・・何言ってるんですか」
「どうしたの! 貴方 僕と結婚してくれませんか 返事を待っています っていったじゃない」
「結婚・・・してくれって・・・、えーー、えーー・・一寸待って・・
もしかして・・・もしかして、
あの~・・・大原和子さん・・・ですか」
「そうよ、私ようやく決心がついたの、貴方と結婚するって」
「もしもし・・、あの・・それは30年も前の話ですよね」
「30年も前、何言ってるの2か月前じゃない・・」
正夫は、確か30年ほど前の独身の時に、大原和子という女性にプロポーズをしたのだった。
彼女は、山岳同好会で知り合った人で活発で魅力的な人だった。
プロポーズをしたのだが、何の返事もなくそのまま会う機会もなくなったのだった。
で、今頃になって、その返事を・・、正夫は頭が混乱してくるのだった。
【続く】

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私は、山田正夫62歳である。
妻に子供は3人である。子供たちはそれぞれ独立して家を出ている。
務めた会社を定年で退職し、今は疲れた体を休ませている。
女房は、パートに出てそれなりに友達を作り充実した生活を送っているようだ。
まあ私などは、相手にはしない。
それはそれで、いい。お互い迷惑はかけたくない。
しかしまあ、職がないという事は、張り合いがないものである。
務めているときは、嫌な思いばっかりしてたのに。
このまま、日を過ごすのも、なんだし、何か仕事を探してみようかなと思うようになった。
ジリリリーーーン
電話がなって、出た。
「もしもし、正夫さん・・」

「はい、山田正夫ですけど」
「あたし・・、和子」
「え!和子さんですか」
「そうよ、何言ってるの」
「あの、どちらの和子さんですか」
「あら~失礼ねぇ・・、私ね決めたの・・貴方と結婚するって」
「え!・・・・何言ってるんですか」
「どうしたの! 貴方 僕と結婚してくれませんか 返事を待っています っていったじゃない」
「結婚・・・してくれって・・・、えーー、えーー・・一寸待って・・
もしかして・・・もしかして、
あの~・・・大原和子さん・・・ですか」
「そうよ、私ようやく決心がついたの、貴方と結婚するって」
「もしもし・・、あの・・それは30年も前の話ですよね」
「30年も前、何言ってるの2か月前じゃない・・」
正夫は、確か30年ほど前の独身の時に、大原和子という女性にプロポーズをしたのだった。
彼女は、山岳同好会で知り合った人で活発で魅力的な人だった。
プロポーズをしたのだが、何の返事もなくそのまま会う機会もなくなったのだった。
で、今頃になって、その返事を・・、正夫は頭が混乱してくるのだった。
【続く】

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小話:昔の彼女 その2
小話:昔の彼女 その2
山田正夫に、30年も前の女性から電話が来たのだった。
それは、プロポーズの申し出を受けるというものだった。
正夫は、戸惑うのだった。
そんな事はお構いなしに、大原和子は、話を続けるのでした。
「私、父に伝えました、正夫さんの事」
「伝えたって・・、何を・・」
「あら~・・、何をって決まってるじゃない、正夫さんと結婚するってことよ」
「な・・、な・・何を・・今更・・」
「だからね・・会いに来て、手紙に住所と家の地図を書くから」
「・・・・」
「それじゃ、待ってるわよ」
電話は切れた。

大原和子か、懐かしいけど、もう30年も前の人だからな。
なんで今頃、でもなんかしら彼女の話しぶりでは、
30年の歳月は感じられなかったな。
そして、数日後手紙が来た。
【続く】

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山田正夫に、30年も前の女性から電話が来たのだった。
それは、プロポーズの申し出を受けるというものだった。
正夫は、戸惑うのだった。
そんな事はお構いなしに、大原和子は、話を続けるのでした。
「私、父に伝えました、正夫さんの事」
「伝えたって・・、何を・・」
「あら~・・、何をって決まってるじゃない、正夫さんと結婚するってことよ」
「な・・、な・・何を・・今更・・」
「だからね・・会いに来て、手紙に住所と家の地図を書くから」
「・・・・」
「それじゃ、待ってるわよ」
電話は切れた。

大原和子か、懐かしいけど、もう30年も前の人だからな。
なんで今頃、でもなんかしら彼女の話しぶりでは、
30年の歳月は感じられなかったな。
そして、数日後手紙が来た。
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小話:昔の彼女 その3
小話:昔の彼女 その3
手紙には住所と地図が書いてあった。
父に話してあるから、なるべく早く来てほしい。
と、ある。
正夫は、どうしたもんかと、悩むのだった。
行ったらいいものか、どうか。
何せね、現在の身としては妻子があるわけだし、
行って、和子さんと会って、何を語ればいいものかどうか。
ましてお父さんだなんて。
しかしながらそうは思うものの、30年前の和子さんを、
さらに鮮明に思い出したりもするのだった。
確かにあの当時は、彼女に恋い焦がれたのだった。
結婚するなら、彼女しかない。
そう一大決心をして、結婚を申し込んだのだった。
彼女は魅力的だったな~・・・。
正夫は、彼女の住所地を確認して、出かけることにした。
女房には、勿論内緒にしなけらばならない。
背広とか着飾っていったら、まずいだろうからと、
普段着で、何気なく出かけることにした。
「今日は、出かけて来るから」
「あら、そう」
女房は、いつもの調子であるが、緊張した。
どことなく、顔がこわばってしまう。
さて、行ってくるか。

電車を乗り継いで、彼女の住む町へやって来た。
城所の家にたどり着いた。
「うーん、ここだな」
正夫は玄関のベルを鳴らした。
【続く】

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手紙には住所と地図が書いてあった。
父に話してあるから、なるべく早く来てほしい。
と、ある。
正夫は、どうしたもんかと、悩むのだった。
行ったらいいものか、どうか。
何せね、現在の身としては妻子があるわけだし、
行って、和子さんと会って、何を語ればいいものかどうか。
ましてお父さんだなんて。
しかしながらそうは思うものの、30年前の和子さんを、
さらに鮮明に思い出したりもするのだった。
確かにあの当時は、彼女に恋い焦がれたのだった。
結婚するなら、彼女しかない。
そう一大決心をして、結婚を申し込んだのだった。
彼女は魅力的だったな~・・・。
正夫は、彼女の住所地を確認して、出かけることにした。
女房には、勿論内緒にしなけらばならない。
背広とか着飾っていったら、まずいだろうからと、
普段着で、何気なく出かけることにした。
「今日は、出かけて来るから」
「あら、そう」
女房は、いつもの調子であるが、緊張した。
どことなく、顔がこわばってしまう。
さて、行ってくるか。

電車を乗り継いで、彼女の住む町へやって来た。
城所の家にたどり着いた。
「うーん、ここだな」
正夫は玄関のベルを鳴らした。
【続く】

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小話:昔の彼女 その4
小話:昔の彼女 その4
正夫は、大原和子の家にたどり着き、玄関のベルを鳴らした。
インターホンでの応答があった。
「はい、どちら様でしょうか」
「大原和子さんのお家ですか」
「はい・・・・、そうですけど」
「私は、山田正夫といいます。大原和子さんを訪ねてまいりました」
「和子ですか・・・」
「そうです、御在宅でしょうか」
「そうですか・・、どうぞ中にお入りください」
正夫は、扉を開けて中へ入った。

老いた男性が迎えてくれた。
「失礼します、初めまして私は山田正夫といいます」
「大原です・・、和子を訪ねてきたのですか」
「ええ、そうです」
「そうですか、ならばこちらへどうぞ」
正夫は、家の中へと導かれたのでした。
【続く】

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正夫は、大原和子の家にたどり着き、玄関のベルを鳴らした。
インターホンでの応答があった。
「はい、どちら様でしょうか」
「大原和子さんのお家ですか」
「はい・・・・、そうですけど」
「私は、山田正夫といいます。大原和子さんを訪ねてまいりました」
「和子ですか・・・」
「そうです、御在宅でしょうか」
「そうですか・・、どうぞ中にお入りください」
正夫は、扉を開けて中へ入った。

老いた男性が迎えてくれた。
「失礼します、初めまして私は山田正夫といいます」
「大原です・・、和子を訪ねてきたのですか」
「ええ、そうです」
「そうですか、ならばこちらへどうぞ」
正夫は、家の中へと導かれたのでした。
【続く】

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小話:昔の彼女 その5
小話:昔の彼女 その5
正夫は、仏壇の部屋に通された。
「どうぞ、和子はこちらでございます」
「え! まさか」
「和子は、もうとっくに亡くなっていますよ」
「そうなんですか・・・・・」
「もう、30年にもなりますか」
「3・・30年・・・」

正夫は、和子が30年も前に亡くなっていた事に、驚いた。
30年と云うと、結婚の申し込みをした頃ではないか。
それが、どうして連絡があったのだろう。
正夫は、和子の遺影に手を合わせるのだった。

「ところで、山田さんでしたか」
「はい・・」
「和子とは、どういう知り合いなのでしょうか」
「えー・・、まあ・・・そのーー・・、30年も前になりますけど、
和子さんに結婚を申し込んだことがあります」
「そうだったんですか」
「えーー、まあ返事はもらえませんでしたけど」
「それで、なんで今頃に訪ねてきたのですか」
「それは・・・、その・・和子さんから連絡があったのです」
「和子から・・・・」
「ええ、結婚の申し込みを受けますって」
「・・・・・・」
「お父さんには、伝えてあるとも言いました、私もすでにこのような歳になりました、
不思議なこともあるものだと、しかしながら、どうも気になって来たのです」
「そうなんですか」
「和子さんは、何で亡くなったのですか」
【続く】

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正夫は、仏壇の部屋に通された。
「どうぞ、和子はこちらでございます」
「え! まさか」
「和子は、もうとっくに亡くなっていますよ」
「そうなんですか・・・・・」
「もう、30年にもなりますか」
「3・・30年・・・」

正夫は、和子が30年も前に亡くなっていた事に、驚いた。
30年と云うと、結婚の申し込みをした頃ではないか。
それが、どうして連絡があったのだろう。
正夫は、和子の遺影に手を合わせるのだった。

「ところで、山田さんでしたか」
「はい・・」
「和子とは、どういう知り合いなのでしょうか」
「えー・・、まあ・・・そのーー・・、30年も前になりますけど、
和子さんに結婚を申し込んだことがあります」
「そうだったんですか」
「えーー、まあ返事はもらえませんでしたけど」
「それで、なんで今頃に訪ねてきたのですか」
「それは・・・、その・・和子さんから連絡があったのです」
「和子から・・・・」
「ええ、結婚の申し込みを受けますって」
「・・・・・・」
「お父さんには、伝えてあるとも言いました、私もすでにこのような歳になりました、
不思議なこともあるものだと、しかしながら、どうも気になって来たのです」
「そうなんですか」
「和子さんは、何で亡くなったのですか」
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