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童話:ソリっこ遊びに行く その6
童話:ソリっこ遊びに行く その6
みんながソリで遊ぶ場所に着いたマサ男は、
一目散に駆け上がるのだった。
「オラも一緒に遊ぶー」
「オラもソリっこで滑れるぞー」
てな、もう天上の方まで行ったのだ。

ところが、みんなが遊んでる所は雪が固まって、
ツルツルでな。
勢いが良すぎて、ひっくり返ってしまった。
もう一度、ソリに乗って滑ると、今度は横に向いてしまい
又、転んでしまった。
マサ男がいつも遊んでる、山奥の家の雪とは全然違う。
まるで氷の上にいるようだ。
しかし、みんなは上手に滑っている。
「ようし、今度こそ」
と、滑るが、勢いがつき過ぎてやっぱりひっくり返るのだった。
マサ男は、とうとう動けなくなった。

「ありゃ、オメはマサ男か」
側の家の伯母さんが、見つけてやってきた。
「何してオメ、此処にいるんだ、誰と来たんだ」
マサ男はもう、元気なく起き上がる事が出来なかった。
「ありゃ、まあ、こんなに手も、しゃっこくなって」
叔母さんは、マサ男を抱きかかえて、家に連れて行き、
コタツに入れたのだった。

マサ男の着物は濡れ、手は冷たくかじかんでいた。
「よくまあ、こんなして遊んでたもんだな」
叔母さんは、手をさすり、足をさすりして温めてやるのだった。
マサ男は、コタツの中で、意識がもうろうとしていた。
そしてそのうちウトウトし出したのだった。
【続く】

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みんながソリで遊ぶ場所に着いたマサ男は、
一目散に駆け上がるのだった。
「オラも一緒に遊ぶー」
「オラもソリっこで滑れるぞー」
てな、もう天上の方まで行ったのだ。

ところが、みんなが遊んでる所は雪が固まって、
ツルツルでな。
勢いが良すぎて、ひっくり返ってしまった。
もう一度、ソリに乗って滑ると、今度は横に向いてしまい
又、転んでしまった。
マサ男がいつも遊んでる、山奥の家の雪とは全然違う。
まるで氷の上にいるようだ。
しかし、みんなは上手に滑っている。
「ようし、今度こそ」
と、滑るが、勢いがつき過ぎてやっぱりひっくり返るのだった。
マサ男は、とうとう動けなくなった。

「ありゃ、オメはマサ男か」
側の家の伯母さんが、見つけてやってきた。
「何してオメ、此処にいるんだ、誰と来たんだ」
マサ男はもう、元気なく起き上がる事が出来なかった。
「ありゃ、まあ、こんなに手も、しゃっこくなって」
叔母さんは、マサ男を抱きかかえて、家に連れて行き、
コタツに入れたのだった。

マサ男の着物は濡れ、手は冷たくかじかんでいた。
「よくまあ、こんなして遊んでたもんだな」
叔母さんは、手をさすり、足をさすりして温めてやるのだった。
マサ男は、コタツの中で、意識がもうろうとしていた。
そしてそのうちウトウトし出したのだった。
【続く】

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童話:ソリっこ遊びに行く その7(完結編)
童話:ソリっこ遊びに行く その7
母ちゃんは、息を切らして里までやってきた。
そして、ソリで子供等が遊ぶ場所に到着した。
きっとここにいるはずだ。
「ねえ、マサ男を知らない」
「マサ男、さあ知らない」
「ねえ、うちのマサ男見なかった」
「えー、見てないな」
山奥に住んでる子の顔や名前を知ってる子はいないのだ。

「小母ちゃん、さっきさ、倒れてる子がいてさ、
此処の伯母さんが連れていったよ」
「ホント!、ありがと」
母ちゃんは、急いで叔母の家に走っていったのだった。
「あー、マサ男・・・此処にいたのか」

マサ男は叔母の家のコタツに入り、すっかり寝ついていた。
「ほんに、この子は、心配かけて」
母ちゃんは、マサ男の寝顔を見てほっとするのだった。
マサ男を起こして、叔母に礼を言った。
「申し訳ねぇなす、ほんに迷惑かけやんすた」
「それにしても、良く一人できた事よ」
「うんだ、全くこのバカたれが」
「まあそう云わず、休んでけ」
「あるがたい事だども、家さヒロ子を置いてきたから」
母ちゃんとマサ男は、帰り仕度をした。

山奥の家に向かって、歩き始めた。
「なして、此処まで来た」
「だってさ、オラもみんなと一緒に遊びたかったんだもん」
「そうか・・・、一杯遊んだか」
「それがさ、転んでばっかりだった」
「どうして」
「滑り過ぎるんだ、ツルツル、テカテカでさ」
「・・・・」
「オレさ、ヒィ婆ちゃんに会ったよ」
「ヒイ婆ちゃん? 何処で」
「墓んとこで」
「墓で、ホントかい」
「うん、優しい婆ちゃんだたちょ、オレをさ守ってくれるんだって」
「そう、・・・・そうか。じゃ帰り墓を拝んで行こうか」

「さあ、急いで帰ろう、ヒロ子が待ってるから」
マサ男は、母ちゃんの後を話しながらついて行った。
里から離れた山奥の家に帰る母と子の姿。
そこは、春まで、雪に閉ざされるのである。
おしまい。 どんと晴れ

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母ちゃんは、息を切らして里までやってきた。
そして、ソリで子供等が遊ぶ場所に到着した。
きっとここにいるはずだ。
「ねえ、マサ男を知らない」
「マサ男、さあ知らない」
「ねえ、うちのマサ男見なかった」
「えー、見てないな」
山奥に住んでる子の顔や名前を知ってる子はいないのだ。

「小母ちゃん、さっきさ、倒れてる子がいてさ、
此処の伯母さんが連れていったよ」
「ホント!、ありがと」
母ちゃんは、急いで叔母の家に走っていったのだった。
「あー、マサ男・・・此処にいたのか」

マサ男は叔母の家のコタツに入り、すっかり寝ついていた。
「ほんに、この子は、心配かけて」
母ちゃんは、マサ男の寝顔を見てほっとするのだった。
マサ男を起こして、叔母に礼を言った。
「申し訳ねぇなす、ほんに迷惑かけやんすた」
「それにしても、良く一人できた事よ」
「うんだ、全くこのバカたれが」
「まあそう云わず、休んでけ」
「あるがたい事だども、家さヒロ子を置いてきたから」
母ちゃんとマサ男は、帰り仕度をした。

山奥の家に向かって、歩き始めた。
「なして、此処まで来た」
「だってさ、オラもみんなと一緒に遊びたかったんだもん」
「そうか・・・、一杯遊んだか」
「それがさ、転んでばっかりだった」
「どうして」
「滑り過ぎるんだ、ツルツル、テカテカでさ」
「・・・・」
「オレさ、ヒィ婆ちゃんに会ったよ」
「ヒイ婆ちゃん? 何処で」
「墓んとこで」
「墓で、ホントかい」
「うん、優しい婆ちゃんだたちょ、オレをさ守ってくれるんだって」
「そう、・・・・そうか。じゃ帰り墓を拝んで行こうか」

「さあ、急いで帰ろう、ヒロ子が待ってるから」
マサ男は、母ちゃんの後を話しながらついて行った。
里から離れた山奥の家に帰る母と子の姿。
そこは、春まで、雪に閉ざされるのである。
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