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出稼ぎのタクシードライバー

出稼ぎのタクシードライバー
ドライバータクシー

 オラの出稼ぎは、タクシーのドライバーだった。
東京は大都会でな、どこ走ってるのかさっぱり分からなくなったもんだよ。
何年も行ったけども、そのたんびに建物が変わったりしてな、
ホンズ無かったな。

会社から標準語の教育を受けて、訛らねぇようにって気をつけたもんだよ。
色んなお客さんがいたもんだな。
「はい、どうぞ。何処まで行きますか」
「おい!、銀座の綺麗な姉ちゃんの居る所へ行ってくれ!」

「え!、銀座ですか・・・、どっちの方面になるんでがんすべ」
「ドッチだって、なんだオメ、訛ってるな。何処からきた」
「岩手です。けんどう、いや道路がさっぱり分からなえぃもんで」

「ふんだか、俺も出稼ぎだ、分からないから乗ったんだよ」
標識見たり、看板見たりしてたどり着いたもんだな。

あの頃は、景気も良くってな。
鞄から札束出して数える人がいたな。
音が聞こえるべ、気になってな。バックミラーでチラチラ覗いたのよ。

お客さんを降ろして帰ったら座席に札束が落ちてるじゃねえか。
オラはビックリしてな急いで引き返したのさ。

店の前でウロウロしているお客さんを見つけて、渡したのさ。
喜んでな、チップだって、一枚くれたな。
「ようがんすようがんす」
って、断ったんだけども受け取ってくれってな。

お客さんの真っ青な顔が赤くなってな、オラの顔も赤くなったよもんだよ。
しばらくの間面白かったな。

女の人も乗せたな。
若い女はよ、いいカマリっこがするんだ。
香水ってのか。ぷあ~んと漂ってくるんだ。
ベコ小屋とは違ったなや。降ろした後も残ってるカマリを鼻で吸ったもんだな。

ピッと膨れた女もいたなや。
「有楽町へ行って・・・まったく男は・・」
おっかねぇんだ、怒られてるようでな。
「すみません」
て、小さな声で謝ったりしてな。
亭主だか男だかの悪口を散々言うわけよ。
オラは、耳が裂けるかと思ったよ。

都会の空気は不味かったな。
春になって家っこさ、帰るべ。
雪解けの肌さ、ピリッとくる空気だけども美味かったよ。
水も腹いっぱい飲んだもんだよ。
「ああ、やっぱり住むなら此処だな」
て、思ったもんだよ。

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プロフィール

大坊峠のツッチー

Author:大坊峠のツッチー
岩手県は北緯40°に位置する岩手町から地域の情報を発信します。山里で農業を営み、昭和26年生まれの人生と、方言による創作小話・童話を綴ります。尚、作品は著作権とし、無断使用はお断りします。

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