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それじゃこれじゃの石っこ
方言小話童話
それじゃこれじゃの石っこ
昔ある村にな、太郎という働き者がいたんだとよ。
太郎の家には、ペッコ(少し)ばかりの畑しか無かったから、貧しかったど。
ある日、太郎は山にキノコを取さ行ったど。
そしたら、
「あー! 痛えぃ~・・・」
って、大きな声がしたんだと。
「ん!・・・誰だ・・・何だ・・・」
周りを見たが誰もいねぇがったど。
おかしなことがあるもんだと、首を捻っていると、
草むらから、ヒョイとヘビが顔を出したど。
「オラだよ、まったく・・・」
「ありゃ 済まなかったでがんす。許してけらせな・・・」
太郎は、ヘビさ謝ったとさ。
「ここは、オラ達の場所だ、今は息子の結婚式何だからさ邪魔すんなよな」
と、ヘビが言ったど。
良く見たら、居る居る。じゃわじゃわどな。
「まあ、いいや、目出度い日だからな。そうだ、祝いの席さ、かたって(入って)いけや」
と、言われてたので、席さ座ったど。

ヘビ達も喜んで太郎の傍さ寄ってきて踊ったりしたんだと。
太郎も面白くなって、手や頭に載せたりして遊び、歌を歌ったりしたんだと。
帰る時に、エビの親分が出てきたど。
「今日は、いつもより盛り上がったじゃ、みんな大喜びさ」
と、礼を言ったんだと。
「この石は、‘それじゃ(蛇)石’って云うんじゃ。困った時に打ち鳴らして使うのじゃ」
太郎は、小さな石を二つ貰って帰ったど。
太郎は、毎日せっせと働いたが貧しかったど。
ある冬の日に、ついに食うものが無くなっってしまったど。

どうしたら、いいんだべと途方に暮れていたんだと。
ため息をついてたら、ふとヘビから貰った石を思い出したんだと。
「そうだ、あの石を使ってみよう」
太郎は、石を取り出して、
「それじゃの石っこ」
と、言って、カチッカチッと打ち鳴らしたど。
そしたらば、真っ白い米がぽろぽろと出てきたど。
不思議な事があるもんだと、時折打ち鳴らしたんだと。

おかげで太郎の家では、厳しい冬を越すことができたんだと。
春になって山へ行って、ヘビに礼をしたんだと。
「有難ぅがんすた、おかげで死なねで暮らすことができやんすた」

その話を、欲張りなゴン太が聞いてたんだと。
「そうか、太郎の奴、それで生きてたのか」
ゴン太は、ヘビを捕まえたど。
「やい、このオレにも、石をくれ・・・」
と、脅かしたんだと。
「じゃ、これじゃ(蛇)の石でがんす」
と、言って石を二つ渡したんだと。
「しめしめ、これで米の飯が食えるぞ」
帰ったゴン太は早速石をカチッカチッと打ち鳴らしたど。

出て来たのは、葉っぱや土の塊だったと。
「これじゃ石・・これじゃの石っこ・・・」
と、言って何度打ち鳴らしても、やっぱりり駄目だったど。
「何だ、米は出て来ねぇじゃねえか」
ゴン太はあきらめて石を外の草むら放り投げたどさ。
どんと晴れ
※ 来る年のヘビ年に合わせて、書いてみました。
皆様にご利益がありますように。

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それじゃこれじゃの石っこ
昔ある村にな、太郎という働き者がいたんだとよ。
太郎の家には、ペッコ(少し)ばかりの畑しか無かったから、貧しかったど。
ある日、太郎は山にキノコを取さ行ったど。
そしたら、
「あー! 痛えぃ~・・・」
って、大きな声がしたんだと。
「ん!・・・誰だ・・・何だ・・・」
周りを見たが誰もいねぇがったど。
おかしなことがあるもんだと、首を捻っていると、
草むらから、ヒョイとヘビが顔を出したど。
「オラだよ、まったく・・・」
「ありゃ 済まなかったでがんす。許してけらせな・・・」
太郎は、ヘビさ謝ったとさ。
「ここは、オラ達の場所だ、今は息子の結婚式何だからさ邪魔すんなよな」
と、ヘビが言ったど。
良く見たら、居る居る。じゃわじゃわどな。
「まあ、いいや、目出度い日だからな。そうだ、祝いの席さ、かたって(入って)いけや」
と、言われてたので、席さ座ったど。

ヘビ達も喜んで太郎の傍さ寄ってきて踊ったりしたんだと。
太郎も面白くなって、手や頭に載せたりして遊び、歌を歌ったりしたんだと。
帰る時に、エビの親分が出てきたど。
「今日は、いつもより盛り上がったじゃ、みんな大喜びさ」
と、礼を言ったんだと。
「この石は、‘それじゃ(蛇)石’って云うんじゃ。困った時に打ち鳴らして使うのじゃ」
太郎は、小さな石を二つ貰って帰ったど。
太郎は、毎日せっせと働いたが貧しかったど。
ある冬の日に、ついに食うものが無くなっってしまったど。

どうしたら、いいんだべと途方に暮れていたんだと。
ため息をついてたら、ふとヘビから貰った石を思い出したんだと。
「そうだ、あの石を使ってみよう」
太郎は、石を取り出して、
「それじゃの石っこ」
と、言って、カチッカチッと打ち鳴らしたど。
そしたらば、真っ白い米がぽろぽろと出てきたど。
不思議な事があるもんだと、時折打ち鳴らしたんだと。

おかげで太郎の家では、厳しい冬を越すことができたんだと。
春になって山へ行って、ヘビに礼をしたんだと。
「有難ぅがんすた、おかげで死なねで暮らすことができやんすた」

その話を、欲張りなゴン太が聞いてたんだと。
「そうか、太郎の奴、それで生きてたのか」
ゴン太は、ヘビを捕まえたど。
「やい、このオレにも、石をくれ・・・」
と、脅かしたんだと。
「じゃ、これじゃ(蛇)の石でがんす」
と、言って石を二つ渡したんだと。
「しめしめ、これで米の飯が食えるぞ」
帰ったゴン太は早速石をカチッカチッと打ち鳴らしたど。

出て来たのは、葉っぱや土の塊だったと。
「これじゃ石・・これじゃの石っこ・・・」
と、言って何度打ち鳴らしても、やっぱりり駄目だったど。
「何だ、米は出て来ねぇじゃねえか」
ゴン太はあきらめて石を外の草むら放り投げたどさ。
どんと晴れ
※ 来る年のヘビ年に合わせて、書いてみました。
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