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コケコッコー

鶏
コケコッコ

田舎暮らしは自給自足をしなくてはいけない。
オラは、伯父さんから鶏のヒヨコを貰って来た。

5匹だ。
ピヨピヨと泣いている。
可愛いもんだ。

早速、鶏小屋を作る。
小屋の中を、小さなヒヨコたちは
元気に動いている。

次の日朝、1匹足りない。
どうしたんだろうと、周囲を見ると、
ヒヨコの毛が落ちている。

イタチにでもやられたのだろう。
地面に穴が掘られていた。

山の側にあるから、獣たちに狙われる。
急いで補修にかかった。
網を二重にし、周囲も穴を掘られないように
土納を積んだ。

これで、安心だ。
ヒヨコに餌を与える。
「早く大きくなって、卵を生んでくれよ」
と、声をかける。

やがて、ピヨピヨの鳴き声から
「コーッコー」
に変わった。

半年ほど経った。
体も随分と大きくなって、羽も大きくなった。
トサカも出てきた。

小屋の外に出すと、アッチコッチと動き回って、
糞をして歩く。
もうすぐ、卵を生むんだと思うと、
気にならない。

伯父さんがやってきた。
「ありゃ、これは全部オスだじゃ」
「えーっ、オスだって」

何としたことか、随分と餌を与えて、育てたのに。
どうするか迷ったが、肉を御馳走になるしかない。

鶏を捕まえようとする。
逃げる逃げる。羽があるから、飛び上がって逃げる。
どうやら、オラの殺気が分かるようだ。

捕まえる作戦を練る。
素手では無理だ。
棒の先に針金で輪を作り、それに鶏の頭を入れるのだ。

ようやく一匹捕まえた。
足を縛り、羽を縛り、台の上に首を載せて、
斧を振り上げて一撃で降ろす。

ところが外れた。鶏の目がムいている。
慌ててもう一度斧を振り上げて落とした。

今度は、首が切れて離れた。
瞬間、羽を縛っていた紐が取れて、バタバタと広げ宙に舞った。
慌てて追いかける。

10メートルほどの所に落ち、羽がピクピクし、
やがて、動かなくなった。
拾い上げて、逆さまにして血抜きをする。

次に毛むきである。なかなかむけない。
湯に入れるといいというので、湯に突っ込んでみた。

今度は、良くむけた。
鶏肉の出来上がりである。

夜は鶏肉の御馳走になった。
しかし、思うほどおいしくはない。

首のない鶏が飛んでいく姿が浮かんでくる。

残りの2匹は、捕まえて同じように処分をしたが、
土に埋めた。

もう一匹は、山に逃げたので追わなかった。
次の日の朝、山の中腹から
「コケッコッコー」
と、何度も泣く声がした。

ああ、あそこにいるんだなと、
その方向を見上げた。

三日目の朝には声が聞こえなくなった。
獣にやられてしまったのだろう。

卵のおかずは消えた。
肉も結局は、食えなかった。
田舎暮らしの自給自足の生活も厳しいものである。









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プロフィール

大坊峠のツッチー

Author:大坊峠のツッチー
岩手県は北緯40°に位置する岩手町から地域の情報を発信します。山里で農業を営み、昭和26年生まれの人生と、方言による創作小話・童話を綴ります。尚、作品は著作権とし、無断使用はお断りします。

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