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木のバットとツギ布のボールで野球

木のバットにツギのボール
木のバットとツギ布のボールで野球

昭和30年代は、この村にも大勢の子どもがいた。
子供らは、学校から帰ると色んな遊びをした。

「タケ、何してるんだ」
「バットや、削ってるんだ」
「すぐぇな、振らして」
「ああ、いいよ」
「重いな・・これ」
「生の木だからな」

当時は、親から、物を買って貰えなかったし
子供達も、物をねだる事は少なかった。
大概は自分たちで、見よう見まねで作ったのである。

「おーい、野球するべ」
と、声をかけると、誘いあって子供らが集まってくる。
周りが木々とヤブに囲まれた、小さな広場である。

人数によって、ベースは三角になったりする。
チームは、集まった中で同学年同士とか、
近い年令の者同士がじゃんけんをして決める。

ボールは布切れを重ねて縫い合わせた物だから
グローブなどはいらない、素手で大丈夫である。

アンパイヤは、打つ方がやるが、いない時も
あるから、お互いしゃべりながらやる。

「タケ、良い球投げろじゃ」
「よーし、今度はストライクだ」

こうして、打ったり走ったりする。
小さい子も遊びながらルールを覚えていくのだ。
そして、次の年になると、同じような口をきくようになるのである。

木のバットは、重くて振るのが大変だった。

布切れのボールは、キヌマルと呼んでいた。
打っても、そんなに飛ばない。
途中から、速度が落ちたりするのだっだ。

フライが上がると、取られる率が高くなるから
「転がせー」
とか
「当てていけー」
と、叫んでいた。

それでも、力のある子が遠くに飛ばしたり
フャウルで、ササ藪に打ったりすると、
ボール拾いとなった。

2個くらいは、持ってきていたが、
連続して藪に入ると、みんなでボール探しをした。
前に無くしたボールをみつけると
大喜びをしたものだ。

野球の上手な子は少なくエラーが多かったが、
その分ワーワー行って楽しく盛り上がって、暗くなるまで熱中した。

日曜などは、9回での終了はなく、スコアの回は延々と続いた。
点数も、35対24とかなったりしたが、
「よし、この回に点数入れて逆転だ」
などと、言ってバットを握ったものである。

小さい子、大きい子の学年のへだたりはなく、
みんなが、名前を呼び捨てにして、叫んでいた。

50年前の広場は、木々が生えて森になった。
あの広場で叫んだ声が、聞こえてくるようだ。

もう一度、聞きたいと木々が言ってるようだが、
子供たちがいないのである。




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プロフィール

大坊峠のツッチー

Author:大坊峠のツッチー
岩手県は北緯40°に位置する岩手町から地域の情報を発信します。山里で農業を営み、昭和26年生まれの人生と、方言による創作小話・童話を綴ります。尚、作品は著作権とし、無断使用はお断りします。

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