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修学旅行は混浴

修学旅行は混浴

修学旅行は混浴

高校の2年生の秋は、皆して修学旅行の話で持ちきりになる。
だけども、オラは行けなかった。
貧乏人のオラの家は、そんな遊びに行く金など
出せるわけがない。

家さ帰って
「オラは、行けないからさ」
と、親に言ったら
「そうか・・・」
で、すまなそうな顔してたな。

クラスでは、京都だの、大阪だのって地図を眺めて
騒いでたもんだ。
そんな時、物理の伊藤先生が、
修学旅行に行かない生徒を集めたのさ。

男女合わせて、10人ほどが集まった。
「オレだけじゃねえ」
少しホットした。

「みんな、八幡平の温泉巡りに行かないか、3泊4日だけど
自炊するので、金はかからねから」
と、言う。

オラ達は、皆が修学旅行の間は自習してるのもなんだし
行くことにした。

修学旅行の当日、バスに乗り込む皆を見送った後、
オラ達は、歩いて駅に向かったのだ。
花輪線に乗り換え、松尾八幡平で降りた。

最初の目的地に向かい。山道を歩いた。
ススキがたなびく晩秋の八幡平路で
心地良かった。

20キロも歩いて、温泉宿に着いた。
早速風呂に行くと、混浴と書いてあった。
大きな浴槽だけど誰もいなくて悠々と入れた。

部屋に戻り、くつろいでると混浴が話題になって、
もう一度出かけた。
湯気がもうもうと立ちあがる中に
女生徒たちが数人して体や髪をを洗っていた。

オラ達が大きな声で話しながら接近したので、
びっくりしたのか、キャーと言って急いで
隣の女風呂の方へ逃げて行ってしまった。

「ありゃー、しまったな、こっそり来るんだった」
などと、悔しがった。

翌日も、20キロほどの道を歩て温泉に到着した。
「ありゃ、ここも混浴だってよ」
「五右衛門風呂だってさ」
早速風呂へ行った。

目の前に大きな鍋があった。
「これが五右衛門風呂か」
「すげーっ」
湯気が立っていて、良く分からないで入ったら
目の前に婆さんが3人入っていた。

「あんりゃ、まあ、若え旦那さん達でねえすか」

「えっ、何だ・・、婆さんか、失礼します、どうも・・」
「たんまげたな、おしょすべよ」
「そうすか、オラどは、混浴だってから来たけど、あて外れたな」

「オラタつも、オナゴだべよ、全く今の若いもんは、何処から来たのす」
「沼宮内さ、何まだ高校生よ」
などと、オラは五右衛門風呂の中で、婆さんと会話して
混浴を楽しんだのである。

最終日は、バンガローの露天風呂だった。
舞い散る雪が湯に吸い込まれていく。
青春の一時としては、最高の夜を過ごした。

オラ達を連れて行ってくれた伊藤先生は、登山家で、
ヒマラヤの地で遭難したと卒業してから聞いた。

八幡平の山並みを見ると、思い出す。
大自然の包まれた空気を吸い、湧き出る湯で
体を癒したことを。


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プロフィール

大坊峠のツッチー

Author:大坊峠のツッチー
岩手県は北緯40°に位置する岩手町から地域の情報を発信します。山里で農業を営み、昭和26年生まれの人生と、方言による創作小話・童話を綴ります。尚、作品は著作権とし、無断使用はお断りします。

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