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へっちょこ騒動

へっちょこ


へっちょこ騒動

昔な、オラの村では、おドケだ男が多くてな、祭りがあると
喜んで遊びさ行って踊ってらったてよ。

この年も、盆が近づいてきて、踊る始めたどよ。
カカどぁは、
「この馬鹿こど、全くどうもならなえもんだなや」
って、ごしゃいでいたど。

盆踊りの太鼓の音がすると、若え男どもは、喜んで集まってきて
踊りだしたど。
この日は、天気が良くてな暑くて暑くてなや、
たまらなくなって、裸になってヘソだして踊ったんだと。

そしたら、雲の上にいた雷様が見てらったど。
「おーっ、ほっほー、面白え奴らがいるな」
って、ゴロゴロッゴロゴロッと、音たてて近づいてきたど。

踊りに夢中になってる男どもは、
「雷雲が来たか、一雨降ってくれればちょうどいいなや」
などと言って踊るのをや止めなかったてよ。

雷様は、真上まで来て、雨を降らせたとよ。

「いい雨だ、いい雨だ」
男どもは、濡れるのもかまわねで踊ってらったど。
雷様は、喜んで喜んで、
「わっはっはっ、わっはっはっ」
と、笑いながらゴロゴロと音を立てて雨を降らせ、ピカーッと
稲妻を光らせて、去って行ったど。

雨が上がり、男どもは一休みしたど。
「ああ、いい雨だった」
「ふんだ、ふだ」
て、言ったらったど。そしたら、
「ありゃ、オメ、ヘッチョがねえな、なんじょした」
って、言われて腹を見ると、ヘソが無くなっていたど。

背中の方を見ても、やっぱり無えかったど。
「オリャ、オメのヘッチョも無えじゃ、オメもだ」
裸になって踊っていた者は皆してヘソが無くなっていたど。
「こりゃ、困ったな」
「腹だか背中だかわからなくなったじゃ」
って、へたり込んだど。

そんな時、隣村から山を越えて踊りさカタる人が来たど。
「おーい、オラも、盆踊りさ入れてけろ」
「ああ、いいけども」
「ところでさ、山の上でな、珍すもの拾ったじゃ、これ何だべ」
って、トラの模様のした袋を出したど。

何だろうと袋を開けると、丸こいのが一杯入っていたど。
中から取り出して見たど。そしたらな、
「アリャ、これはオラのヘッチョだ」
って、取って腹さくっつけたど。

それを見て、皆してヘソを捜したど。
「あったー、これはオレのヘッチョだ」
とか、
「このヘッチョはデベソだからオラのじゃねえ」
などと、言いながらくっつけたど。

腹のヘソが元に収まったので、安心して家に帰ったど。
それからは、暑くてもヘソを出して踊ることは無くなったど。

家でへっちょこだんごを作ると、
「ごっちょになるでがんす」
と、手を合わせて食ったもんだってな。

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プロフィール

大坊峠のツッチー

Author:大坊峠のツッチー
岩手県は北緯40°に位置する岩手町から地域の情報を発信します。山里で農業を営み、昭和26年生まれの人生と、方言による創作小話・童話を綴ります。尚、作品は著作権とし、無断使用はお断りします。

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