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あもんこがくるぞ

★ あもんこがくるぞ
それは、それはずーっと昔の話だどもな、蒙古つう国がさ、
攻めてきたんだってさ。
日本の国中大騒ぎしてなや、騒動けしたのさ。
この辺の若い衆も集められて行ったもんだってよ。
何もかぬも、おっかなくてなや、人もいっぺい死んだそうだ。
二回も攻めて来たんだそうだが、神風が吹いてな、蒙古が逃げていったそうだ。
それでな、生け捕った蒙古の兵隊共を連れて来たんだとよ。
長い旅でな、ようやくたどり着いてな。
この先の宿場で休んでたのさ。
蒙古が来てるって聞いてな、男どもは見に行ったてよ。
神社の境内の端っこに、10人ばかりが鎖に繋がれいたどよ。
恐ろしい顔した大男にギョロっと睨まれたってな、
若い衆は、肝つぶして帰ってきたどさ。
「ありゃ、鬼よりおっかねじゃ」
って、村の皆さ教えたと。
その日の夜だよ。
「大変だ、大変だー」
て、叫んで来るのがいたのよ。
何すたべなって、外さではったらば、
蒙古が、逃げて山のほうへ行ったと息切らして言うわけよ。
さあさあ、村の衆はびっくりしてな、いつ山の方から襲って来るか分からねすな。
村の長が、皆を一か所さ集めたとさ。
女ごとか、ワラスを囲んで守るようにしたとさ。
「蒙古は、女ごとか、ワラスを食うらすじゃ」
って、誰かが言ったもんだから、
ワラス共は、たまげてすまってな、
「オラ、食われるのはイヤだーっ」
って、皆すて泣き叫んだとよ。
代官所で捜索隊をだして、一晩中探したんだとさ。
朝方になって、山の沢に隠れていたのをようやく捕まえたんだとさ。
それからだな、夜中にワラスが騒ぐと、
「蒙古が来るぞ」
て、言ったもんだってよ。
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