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樹齢千年の木
樹齢千年の木
おらぁ 樹齢千年といわれている
まだまだ生きてるんだ
ここさ根っこ張ってさ
花っこ咲かせて
実っこ成らせて
ほらほら見さ来い 取りさ来い
おらぁ 樹齢千年といわれている
おらの前さ集まって遊べ
ほらほら汗かくまで走れ
それそれ跳ねろ 跳ねろ
やれ飛べそれ飛べ 手を伸ばせ
おらぁ樹齢千年と言われている
人はおらを神木だという 恥ずかすな
おめだつはネズミと同じだよ
ちょろちょろ集まっては去っていく
黙って見ていねで歌っこでも聞かせてくれや
おらぁ樹齢千年といわれている
風に吹かれて揺れるってか ワッハッハ
陽に射されて暑いってか ワッハッハ
触ってみろ登ってみろ
ほれほれその枝っこさ取っつかまれ
おらぁ樹齢千年といわれている
月の光静かだな 何にも聞こえね
黒い雲 暗い闇 何にも見えね
まんずここさ来て寝てみろ
病っけも治ってさ いい夢みれるぞ
おらぁ 樹齢千年といわれている
雷 おっかねー 火事 おっかねー
おらぁ大きくなって目立つもんな
こっつさ来るなっての あっつさ行けっつの
舌っこベロッと あかんべーだ
おらぁ 樹齢千年といわれている
冬の雪 へばりつく氷っこ
よく来たな この寒いのに
たどもおらぁ震えてるわけでね
目を開けて周りに声をかけてんだ
おらぁ樹齢千年といわれている
雪も溶けてもうすぐ春が来るだよ
土の中が温まってきたな
さぁて、一仕事するとするか
ああ うめな ここの水と空気は
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雪が降る
雪が降る
雪が降ってきたな
どんどん降ってくるな
止まねえな
冬だもんな
白くなってきたな
覆われてきたな
みんな雪の中になったな
土も草も石もな
木も山も岩もな
寒いな
冷えてきたな
凍みてきたな
スガっこできたな
ツララができたな
手がかじかむな
吐く息白えな
耳が冷てえな
靴下濡れてきたな
鼻水でてきたな
目がしょぼしょぼするな
手ぬぐいねえか
タオルねえか
風呂敷ねえか
角マキねえか
ほっかむりするべな
タオル首さ巻くべな
風呂敷かぶるべな
角マキはおるべな
どれ火 焚くべ
芝持ってこい
タキギ持ってこい
湯っこ湧いてきたな
お茶っこ飲むか
ジャッコ焼けたな
まんず
ここさきて
温まって行かっせ
春の散歩
春の散歩
ようやく雪が解けた
道もぬかるまなくなったな
どれ、散歩でもするか
オラは、９０歳になった
良く生きてきたもんだな
外の空気はうんめいな
もっと、もっと
息、吸っていくべ
去年よりも歩くのが
遅くなったかな
足の幅が狭くなったかな
まあ、仕方なかんべな
早くなる方がおかすねもんな
ああ、鳥が飛んでる
何食ってるんだべな
「ありゃ、カドの婆様
いい天気でがすな」
「ここさ座ってらった、
オメさんもここさ座らっせ」
「いや、後で・・・」
相変わらず、きれいだなやサキさんは
散歩はいいなあ
若い女に声をかけられるし
さあ、もう少し歩くべ
昔あった道
昔あった道
昔、歩いた道がなくなっている
この先は、ササの藪になってしまったな
もう、誰も歩いて行けないな
この先には、栗の木があってな
村のみんなが拾いに来たんだよな
何もないな、栗の木もないな
消えてしまったな
静かなもんだ
目をつむれば見えてくるかな
ああ、見える見える
栗拾いをしている
腰にカゴさげて
棒を持って拾っている
ありゃ、婆さんもいるじゃ
袋さ一杯入れたな
風が吹いた後は
落ちてんだよな
今夜は、栗を煮て
腹いっぱい食えるな
無くなった家
無くなった家
ここに、ユウ君の家があったんだよな
よく遊んだよな
相撲とったり、鬼ごっこに隠れんぼ
楽しかったな
庭も畑も無くなってる
何処へ行ってしまったんだろう
ユウ君も、小母ちゃんも
何処にいるんだろう、会いたいな
古い墓がある
誰か来て拝んでるんだろか
目をつむれば見えるかな
ああ、見える、見える
ユウ君、いたのかい
久しぶりだね、変わってないな
良かった
さあ、隠れんぼしよう
じゃんけんだ、
よし、ユウ君が鬼だ
もういいよったら、来るんだよ
もういいよ、
もういいよ・・・
僕は此処にいるよ
ユウ君
